話を聞いてほしいという欲求
こんばんは、秋葉です。
SPIRAL MOON『栗原課長の秘密基地』は無事に閉幕致しました。
ご来場頂きました皆様、そしてスタッフ、出演者をはじめ関係者の皆様、本当にありがとうございました。
2007年11月の『夜のジオラマ』(初演)以来、私にとっては実に12年振りに出演しない公演でした。
ずーっとモヤモヤし続けた(私は出演しても良いのだろうか、演出だけすべきなのではないだろうか、と)12年間だったのですが、出演しないことを決めて演出家として稽古場に通い、テーブルのいわゆる〈向こう側〉に座り、劇場でも楽屋には踏み込まず、本番の舞台を眺めるのは…なかなか……の体験でした。
楽しいような、寂しいような…。
自分で選んだことですから、後悔はしていないのですけれど。
でもその決意を自分自身に馴染ませるために切った前髪は、なかなか左右のバランスが取れなくて毎日どんどん切っちゃって結果としてボサボサぱっつんとなり恥ずかしかったのですが。役者として舞台に立たなくても場内整理でお客様の前には立つでしょうよ!と周りから総ツッコミされました。自分でもおかしいと思っていましたとも!
稽古が始まる時、お馴染みのメンバーは戦々恐々としていました、今回の秋葉は自分のことを考えなくて良いからうるさいぞ、と。
そういう部分も確かにあったかもしれませんが(私が諦めないことで苦しんだ方もいらしたのだと思います)、でも心持ちはいつもと同じで臨んだので、どっちの方が良かったとか、ないんだなぁ…。
自分のことを考えることはありませんでしたが、その分のエネルギーを全ての登場人物に注いだので。
開演の合図である音楽が流れて舞台が暗くなっていく時、私は客席上の狭いブースで祈っていました。
みんなが持っている力のすべてを出し切ることができるように。
信じた道を歩いて行けるように。お互いを信じて助け合えるように。
舞台の神様に祈っていました。それはそれはいつもよりたくさん。
その祈りは通じたかしら…?
そうそう。
今回の私のテーマは「話を聞いてほしい」という欲求でした。
劇中に、作家について「自分の考えた話をみせびらかしたいだけの連中」と表する言葉が出てくるのですが、作家だけではなく、役者も演出家も、すべてのクリエイターに当てはまる言葉だなと深く刺さりました。
人に言いたくなるほど強い想いを抱える【業】ですね。
で、テーマだなぁと考えていたら、不思議とそういうものが集まってくるわけです。
開場中に場内には劇中の【今】である2002年のヒットチャートを流していたのですが、そこから開演合図の音楽に乗り変わる最後のフレーズはクレイジーケンバンド『タイガー&ドラゴン』のお馴染み「俺の話を聞け!」だし、SPIRAL MOONお馴染みの開演曲で流れるのは今年9月の国連温暖化対策サミットでの16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんのスピーチでした。
全然違うように思えますが、私の中ではひとつに結びついて、テーマを強く補完するものとなったのです。
次回のSPIRAL MOONは来年2020年6月です。
また下北沢「劇」小劇場でお目にかかりましょう!
次なる物語を紡ぐために、今日から走り出します!!
深い感謝を込めて
◇◆秋葉舞滝子◆◇