『雨の世界』の本を読んだ時、最初に浮かんだ演出のイメージがオリーブの枝でした。

この『雨の世界』は昨秋にウテン結構に書き下ろされた作品で、ご覧になった方もたくさんいらっしゃると思うのですが、私、拝見できませんでした。
だから真っ新な状態からイメージを膨らませることができたとも言えます。
作者の雨々アメ(仮)さんはとても懐の深い方で、演出家の妄想(暴走ともいう)も受け入れて下さったので、あのエンディングが生まれました。

物心がついた頃から大人になるまでカソリックの教えの中にいたため、私の作品に多くあらわれるのは聖書のイメージだったりするのですが、洪水伝説って、世界中にあるんですって。多くの古代文明が水辺で発祥したことを考えればさもありなん、ですが。

鳩の鳴き声、そして羽ばたき。
で、オリーブの枝がどこにあったかというと、受付の花瓶に挿してありました。
オリーブって枝だとものすごく地味だからお気づきにならなかったかもしれませんが、ちゃんと洪水を終わらせてました!

そうそう、劇中では全く語られなかったことなのですが、SPIRAL MOON版の上演台本の1行目はこんな風に始まります。

6月20日、23時50分。強い雨と風の音。

そう、昨晩から今朝にかけての出来事だったんです。
いつか、どこかの、6月20日の物語。

『雨の世界』月組星組全8ステージ、無事に幕を降ろしました。
劇場で、そして遠くから応援して下さった全ての方に心から感謝致します。
共に物語を紡いで下さった出演者、スタッフの皆さまに心から感謝致します。
秋の気配が漂う頃、再びお目に掛かりましょう。

◇◆秋葉舞滝子◆◇