役者とは【物語】を乗せて運ぶ船である。

こんにちは、秋葉です。

『夜のジオラマ』の千穐楽から、早くも数日経ってしまいました。

ご来場、ご観劇下さいました皆様に心より感謝致します。縁の下で支えて下さったたくさんのスタッフ、そして舞台の上で共に闘った出演者の皆様にも深く感謝致します。

SPIRAL MOONの40回目の公演は滞りなく無事に終幕しました。

私たち人間はDNAを運ぶ船だという言葉を初めて聞いた時、なんだかものすごい真実に触れた気がしました。

真実だけど、真実だからこそ、触れてはならない事実。その事実の前には、ちっぽけな感情なんて何の意味もなくて、ただ弱肉強食の世界だけが広がっている。

それは生きていくのが精神的に大変な子供だった私にとって、天の啓示のような、救いの呪文でした。

役者は、登場人物という他者の人生を自分のものとして生きる因果な人種です。

それは誰にでも簡単にできることではないのかもしれません。自分を器として扱うことは。何故ならその時に立ち向かわなくてはならないのは、他ならぬ、その身を手放すことなんて想定していないはずの自分自身なのですから。どんなに自分が嫌いだと言っても、その思いに囚われているほど執着から逃れられない。執着とは足をその場に縫いとめられ一歩も動けずにいるようなものなのですから。

台本という物語を受け取って、自分の体という器でその物語を運んでいく。【自分】ではなく【物語】の意思に従って。

演じることは血湧き肉躍る、けれど危険も孕んだ冒険で、誰でも旅立てるものではないのかもしれません。でも最初の一歩を踏み出せれば、見たことのない、自分自身の人生では決して経験できない世界が広がっているのです。

これまで40本の上演で、たくさんの冒険をさせて下さった作家の皆様に、改めてお礼申し上げます。物語という船の舵を取らせていただけたことに、深く感謝致します。

これからも、私は冒険を続けていくでしょう。次の船出を目指して、私は準備を始めています。

舞台の上で、劇場で、旅の友となりましょう。さあ一緒に、この船で。

あなたとの航海を楽しみにしています。

◇◆秋葉舞滝子◆◇


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  • もしかしたら
    「時間」だけが彼女を救えるかも知れないという希望的観測。

    地球までは、救えないけど。

    「夜のジオラマ」