香りを身に纏うのが好きです。
こんにちは、秋葉です。

若さに任せていくつもの現場を掛け持ちしていた時期、毎日、今日はどの芝居の稽古に行くんだっけ?みたいな、日替わりで別の芝居の稽古場に駆け回る滅茶苦茶な日々がありました。

そんな時、気持ちを切り替えるために私がしていたのは、芝居や役柄に合わせた香水を選び、それを現場ごとに付け替えることでした。
いろいろな切り替え方法を試したけれど、それが一番自分の性に合っていたのです。
以来、もう何十年もその習慣を変えていません。SPIRAL MOONでも、客演でも。

台本を手にして、キャスティングされて、私が最初にすることは香水選びです。
彼女はどんな香りを身に纏うだろうか?
それは私が演じることを任された登場人物の人生を探る作業です。

『夜のジオラマ』は再演の作品なのに、私は今回、香水選びを間違えました。これだ!こういう香りのはずだ!と決めたのに、稽古しながら何となく、本当に何となく違和感があって、でもしばらく理由がわからなくて…。

最近になって、ようやく気づいて香水を変えました。そんなこと、今まで一度もなかったのに。
そして瞬時に登場人物の生き方と馴染んだのを感じて、大袈裟でなく背水の陣のつもりで香りを変えて良かったと思っています。

香りは、生き様です。
薄く纏うベール?いいえ、そのからだのうちから滲み出るもの。ひとつひとつの経験を積んで私自身となったもの。
そんな風に考えています。

花

◇◆秋葉舞滝子◆◇


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