自分の好きな映画の1つに『プライベート・ライアン』という映画があります。第二次世界のノルマンディー上陸作戦の最中、たった一人の兵士を戦地から帰国させる為だけに、同じく戦地で戦っているアメリカ軍のとある一個小隊が救出に向かう、というストーリーです。

この一個小隊に途中から加わる人物で、アパムという兵士がいます。兵士といっても、通訳が必要になったからという理由で急遽駆り出された実戦経験の全くない人でした。この人、もう名前がいかにも「戦えない響きをしているなぁと」、出てきて名前を知った段階で笑ってました。救出作戦に何を持って行かなければ良いかも分からず、テンパってタイプライターを持っていこうとした位、使えない奴だったんです。でも、彼が仲間と敵との狭間で迷い、怯え、逃げ続けて最後に辿り着いた先にあったのは、自らの意思でもって銃を取り、1人の敵を撃ち殺すという姿でした。

アパムのその変わってゆく理由に共感し、最後には心を根こそぎ持っていかれた思い出があります。笑っていた自分は何だったのかと。人が変わっていくというのはそれだけの理由があったり、必要だったりする。

今回の舞台とは無縁の話になってしまいましたが、これって何も戦争でのみ起こる事ではなくて。稽古の帰り道、ふと、浮かんできたのはそんな事だったのです。本当に、何故?って思いましたがw

写真はアシベちゃんこと、印田彩希子さん。彼女との役者仲間歴は長いのですが、初のSPIRAL MOON共演です。いつも彼女には色々な方面で助けられてばかりです。
そして今回、彼女がやる役は自分が見たことのない人物になる気がするのです。お楽しみに・・・


城戸啓佑