なんだかよく憶えていないのです、今年という1年を。

憶えていないというより、時間がちゃんと流れていないというか、忘れられない出来事がたくさんあったけれど、その出来事と出来事の間がするりと抜け落ちているのです。

あっという間に時間だけが過ぎて、目を開けたまま夢を見ているような気持ち。

いつもなら楽しい時間の方が「夢を見ているよう」だったわけですが、あの2月から今日までの10ケ月、公演の準備と本番以外は連続した時間の中にないような不思議な感覚です。 しかもこの奇妙な時間感覚はまだしばらく続いていくのでしょうね。

そんな2020年でしたが、刻一刻と変化する状況の中で、考えられる限りの対策を施しながら、それでもなんとか無事に劇場で公演が出来た幸運を噛み締めています。

覚悟を持ってご来場下さいましたお客様、共に困難と闘って下さった劇場の皆様、物語を与えて下さった作家をはじめとするスタッフや出演者の皆様に、もうありったけの感謝を。 やってくる新しい年も、物語の灯を、そして物語の住処である劇場の灯を絶やさぬよう、知恵を絞って頑張って参りますのでどうぞご贔屓下さいますようお願い致します。

2021年が明るい日々でありますように。

秋葉舞滝子拝